株式会社丸信 代表取締役社長 平木洋二様 対談
新しくお取引いただきました!株式会社 丸信の代表取締役社長 平木洋二様に対談を申し込んだところ快諾いただきました。平木社長は53歳と若く、大躍進中の会社代表取締役であり業界だけでなく、久留米市内で今、一番注目されている会社です。丸信さんを少し紹介します。
1968年6月、乾燥椎茸の進物用木箱の製造を目的として創業。半世紀以上の歴史を持つ老舗の会社です。創業以来、売上げの減少は1年だけという非常にレアな会社。直近、2022年2月の売上は100億円を突破し、従業員数も450名以上。営業拠点として九州はもちろん、広島、大阪、名古屋、東京と拡大中。「総合パッケージングカンパニー」として、包装資材はもちろん、食品業界を中心に販売促進、通信販売、商品開発そして、人材募集まで様々なソリューションを提供している大注目の会社です。https://www.maru-sin.co.jp/
【出会いから実際の契約まで】
安倍 本日は、お忙しい中お時間ありがとうございます。早速ですが、出会ったのは、どのくらい前になりますか?かなり前になりますね。
平木 そうですね、私が40代半ば?前半ですかね。10年ちょっと前になるかもしれません。安倍社長がまだ、代表になられる前ですね。
安倍 そうですね。私は、社長になってから2年10か月ぐらいしか経っていません。平木社長と会ったのは10年ちょっとぐらい前ですね。
平木 行きつけの餃子屋さんがあって、そこに頻繁に通っていました。そこで出会ったのが最初ですね。餃子はもちろんおいしいのですが、ご主人のおしゃべりが面白い。年齢は私と同じくらいの方なんですけれども、とにかく面白かった。そこに、男女問わずに色々な人が来ていました。常連といっても、いつも同じメンバーというわけではなくて、常に新しい面白い人がいましたね。
安倍 そうですね。そこで、色々なことをしゃべっていたら、高校の先輩、後輩という関係だということがわかって。当然、私が先輩になるんですけれどもね。
平木 先輩とは、呼ばないでくれとおっしゃっていましたね。
安倍 そんなには、プライベートなことは話していないんですけれどもね。どういう会社に行っているかとかは全く話がなくて、あまり知らなかったんです。私が社長になって、改めて平木社長の「丸信」について調べると、SDGSにも非常に積極的に取り組まれていて、弊社のリトレッドタイヤのお話にお邪魔したのが今年、2022年の春になります。平木社長には、気持ちよく契約いただいて今日に至る、という感じですね。
平木 事前に連絡をもらって、電話で多少お話を伺ったんですけれども、これはもう、即採用だなと思いました。ウチがやろうとしていることとも合致していますし、少しでも環境にやさしいことはやっていきたい、という思いがあります。仕事で環境や社会にいいことはできないかなと。だから、ぴったりだと思いました。
安倍 丸信さんについては、お取引いただく前から注目していて、保育園の運営も存じ上げていましたし、先進的な取り組みとしてここまでやられるところというのは、なかなかないですよね。
日米ゴムとしては、実は、「再生可能エネルギーを使う」というような取組については、まだまだできていません。先日、リサーチパークで行われたGX研究会で発表されていた取組も興味深くお聞きしました。でも、実際の取組では正直できていません。どうしても、投資にお金がかかるというのが大きな要因です。ですから、本当にカーボンニュートラルを実現するのであれば、公的な支援としてもしっかり後押しをしてほしいということを述べました。私たちは、1947年から、リトレットタイヤを作っているのですが、会社としての課題というのは沢山あります。
【当たり前が当たり前ではなくなった時代の矜持】
今日は、せっかくお会いできるので、「今の世の中をどうとらえるか」という少し、大きな話をしたいというのがあります。一つ目は、コロナ、もう一つは、ロシアのウクライナ侵攻。武力で主権国家に押入るということが実際に起きてしまう、コロナのような人類を脅かすウィルスが発生するという時代となってしまいました。これまで社会が成り立っていた前提条件あるいは、枠組みが変わってきたのではないかと感じています。世の中を成立させている前提というものをもう一度考え直さなければいけないのではないか、と最近よく思うのです。カーボンニュートラルやSDGSに関しても、ムードのようなものが先行しているのではないかとも思うのです。カーボンニュートラルだけではなくて、人類の営みの上で、考え直した方がいいのではないかということが多々あるようにも思えます。平木社長はどのようにお考えでしょうか?
平木 カーボンニュートラルという新しいルールが出来た以上、企業としてはいち早くそれに対応したいと考えています。そうしなければ、やる意味がないと思います。実際にCO2排出量を計算してみると、電気代が一番大きくて次に車両のガソリン代、重油も少しあります。少しでも減らす努力をしようと電力もLEDに、印刷機も含めて変更して電力量を減らしています。トラックも含めて、車両はハイブリッドにしようと今やっているところです。そのうえで、どうしても削減することが出来ないところだけ排出権を購入することで相殺する、これはそんなに難しい話ではないです。このタイミングでカーボン・ゼロを達成するなら、このくらい出してもいいかな、という金額を久留米市の森林保護にお支払いしています。会社としてもPR出来るし、我々の製造するパッケージを使うお客様にとっても、環境にやさしいものであるということは、メリットがあることです。そういうことで、1歩、2歩先にやってみました。
大企業は「2050年にカーボン・ゼロ」とほとんどのところは言っています。どこまで実行できるかは始まったばかりで、まだまだこれからです。ただ、上場しているところはESG投資が主流になってきて、環境とかそういったものに力を入れていないとお金も集まらないという時代になりました。
安倍 その上場している企業と同等、もしくはそれ以上のことをやっている、地に足の着いた取り組みをやられている丸信さんといいのは、やっぱりすごいなと思いますね。先日のGXセミナーで聞いた話でも、これ、ちょっと頑張ればできるんじゃないかなと思いました。掛け声だけで、本当に計算していたところというのは、まだまだ少ないんじゃないかなと思います。
平木 私も、実際にやるまでは、スコープ1,スコープ2,スコープ3と定義している、それさえも知らなかったんですよ。
安倍 久留米市の「かっぱの森J-クレジット」は、あまり知らない人も多いんじゃないですかね。私は、平木社長を通じて初めて知りました。
平木 実は、我々がやる何年も前から「かっぱの森J-クレジット」を購入している事業者さんはいらっしゃいます。我々が初めてというわけではないです。会社としてカーボン・ゼロを達成するためにはここまで買わなければならないというのを算出したうえで久留米市さんとお話させてもらいました。
安倍 いろいろなやり方があるし、会社の規模から言ったら、ウチの方が全然小さいですから、なんとなく手が届きそうな気がしましたね。
平木 事業規模が小さい方がやりやすいですね、これは。
安倍 何でもかんでもというとおかしいけれども、大体、規模が小さい方がやりやすいですね。だから、事業規模が大きい丸信さんでやられるというところはやはり、すごいですよ。
平木 それでもまあ、設備投資を別にすると、電気代が少しあがったのと、久留米市のかっぱの森J-クレジットへの投資を合わせても毎年のランニングは、さほどでもありません。
安倍 額がどうであれ、実際に取組まれるというところがやはりすごいですよね。
【タイヤ市場の特殊性】
リトレッドタイヤの話に少し戻します。トラックのタイヤというのは色々なサイズがあるんです。車好きの方はわかるんですが、「扁平タイヤ」。饅頭の皮ぐらいしかゴムの部分がありません。スポーツカーのタイヤなんてほんのわずかしかゴムの部分はありません。トラックのタイヤも色々な扁平率があって、「靴」のように様々混在しています。靴には、同じサイズで色が違う、3Eがあるとか色々あります。タイヤも同じ2トン車、1.5トンのトラックでもいろいろなサイズが出てきて、レディーメイドで在庫をしておくというのがなかなか難しいというのが現実です。丸信さんで使っているタイヤにしても受注をいただいてウチで作ったり、協力会社で作ったりしてもらっているというのが現実です。だから、どうしてもリードタイムが必要になってきます。在庫もあることはあるのですが、その型にぴったり合えば、即納品はできます。そういうトラックタイヤの特性事情というものがあって、注文してすぐにお届けするというわけにはいかない点があります。そこは、ご理解いただいて協力体制を取っていただく必要があります。
平木 走行距離は決まっています。一定のところで交換が来るのがわかっているので、ここら辺に来るなというのは、事前にある程度わかると思います。
安倍 搬送用のトラックが多いと思うので、走行距離とかそんなに違いませんよね。前もってオーダーをいただいておけばスムーズにいくと思います。
平木 そうですね、何万キロになったらとかを決めておく必要がありますね。確かに、日報に書いてありました。「納期がかかるので」という趣旨でした。
安倍 10トン車ですと、トラックのタイヤというのは決まっているサイズです。2、4トン以下のトラックここは、いろんなサイズがあります。
平木 そういうのは、リトレッドタイヤを推進するためには、あまり必要ではないですね。むしろ、ルールを決める方がベターですね。
安倍 それこそ、時代の趨勢と反しているところはありますね。タイヤの販売店にしても、どこにしても、余計に在庫を持たなくてはならないというジレンマが起きます。
なぜあのような設計をするのかというのはよくわからないのですが、時代の趨勢とは違っています。靴屋と同じように、販売店は余計に在庫を持たざるを得ない仕組みになっています。いろいろな弊害が出てきているのですが、現状としてはそうなっています
【普及が遅れる日本のリトレッドタイヤ市場】
安倍 ここで、日本の現状、リトレッドタイヤの普及率が先進国の中では一番低いという話を少しさせてください。
アメリカ、欧米では、タイヤが摩耗した時に、新品を買うかリトレッドを買うかで普及率を図るのですが、アメリカ、欧米では約5割です。日本の場合は、10数パーセント、20%行ってないんじゃないですかね。(更生タイヤ全国協議会HPhttps://www.retread.jp/global-standard/)逆に言えば、それだけ市場の開拓余地があるということです。新品タイヤメーカーは全部、子会社を持っています。我々のような系列ではないところというのは厳しい競争にさらされている状況です。
【実際リトレッドタイヤを使用するにあたって】
安倍 使用方法に関して言うと、長距離、高速道路での使用はやめた方がいいというのは何度か申し上げましたが、いかがですか?
平木 佐賀に行くぐらいだから、問題はないと思います。あとは、後輪タイヤですね。それは、守っています。
安倍 ありがとうございます。この事業というのは、新品タイヤがないと成り立たない事業です。一度摩耗したタイヤを再利用するという仕組みです。このサイクルがうまく回らないと成立しません。だから、お客さんには新品タイヤも買っていただかないと成立しません。価格としては、新品タイヤの7割ぐらいにすることが出来ますけれども。実際に利用してみて、これ、言っていたことと違わない?ということはありませんか。
平木 そこは、特にないですね。あえて言えば、「納期」が問題になりそうですね。それと、交換できない業者さんがいるということですね。
安倍 近くに、タイヤ交換が出来るところがない事業者さんもあります。現在、熊本の営業所さんからも注文をいただいていますが、対応出来る業者さんが近くにいませんでした。タイヤ屋さんというのは、そんなに儲かる仕事ではないのです。そうすると、後継ぎがいないとか、廃業される方も少なくないです。ホイールから外してホイールで組む時に「チェインジャー」という機械がないとできないんです。後継ぎが汗をかく仕事を嫌がって出ていったとか、この業界では少なくないですね。
初めて取り扱いいただいた丸信さんなので、これからいろいろな問題が出てくるとは思います。でも、それも含めて営業にドンドン言ってください。
平木 欧米と比較して3割ほど少ないというリトレッドタイヤの普及率、どしどしがんばっていただいて、広げていただいて、この地、久留米が環境先進地域として認知されれば、意義があることだと思います。その役に立つのであれば、どんどんウチを使ってください。ぜひ、今後ともよろしくお願いします。